「No.1」や「満足度◯%」の表示は、景品表示法で一律に禁止されているわけではなく、合理的な根拠に基づき、事実と異なっていなければ使えます。消費者庁は、「売上No.1」などのNo.1表示や「医師の◯%が推奨しています」などの高評価%表示が、合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合に、不当表示として景品表示法上問題になるとしています(消費者庁:表示に関するQ&A)。
根拠がある場合も、何の・どの地域の・いつの・誰の調査によるNo.1かが分かるように書き、例外や条件(打消し表示)は目立つ表示と一緒に読めるように置きます。この記事は2026年10月22日時点の公式情報に基づきます(消費者庁・公正取引委員会・LINEヤフー広告ヘルプ)。
消費者庁・公正取引委員会の公表資料を、広告やLP(ランディングページ。広告から最初に開くページ)の原稿を確かめる順にFrameworkが並べたもので、個別の表現が違反に当たるかの判断はしません。ホームページ全体の改善の手順はホームページの問い合わせを増やす方法で扱っています。
No.1表示は、根拠があり事実と同じなら使える
No.1表示は、商品・サービスの内容の優良性や取引条件の有利性を表す表示なので、合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合に景品表示法上の問題になる、というのが公正取引委員会の2008年の整理です(公正取引委員会:No.1表示に関する実態調査について(概要))。言い換えると、根拠があって事実と一致していれば、表示そのものは禁止されていません。
景品表示法第5条第1号は、品質などの内容を実際よりも、または競争事業者のものよりも著しく優良であると示す表示を、優良誤認表示として禁止しています。故意に偽った場合だけでなく、誤って表示してしまった場合も規制の対象です(消費者庁:優良誤認とは)。「安さ第1位」のように価格などの取引条件を著しく有利と誤認させる表示は、第5条第2号の有利誤認表示に当たり得ます(消費者庁:表示規制の概要)。
広告を外注しても、表示の責任は広告主にある
景品表示法の表示規制の対象は、その商品・サービスを供給している事業者です。消費者庁のQ&Aによると、広告代理店や媒体は、広告の制作に関わっていても供給者でない限り規制の対象にならず、不当な表示がないよう十分な注意を払うよう求められています(表示に関するQ&A)。
同じQ&Aは、小売業者が製造業者の誤った説明に基づいてチラシを作り不当表示になった例について、内容を決めたのは小売業者なので、過失の有無にかかわらず小売業者が対象になるとしています。制作会社や代理店が書いた原稿でも、公開を決める広告主が根拠を確かめます。制作を依頼するときの分担はホームページ制作の依頼前に決めることで整理しています。
「顧客満足度No.1」は、調査が4つの条件を満たす必要がある
「顧客満足度No.1」のように第三者の主観的評価を指標にするNo.1表示は、比較対象の選び方・回答者の選び方・調査方法の公平さ・表示と結果の対応の4条件を満たす調査でなければ、合理的な根拠と認められません。消費者庁のQ&Aが「少なくとも」満たす必要があるとする条件で、「医師の◯%が推奨」などの高評価%表示では2〜4が必要です(表示に関するQ&A)。
- 比較する商品等が適切に選定されていること
- 調査対象者が適切に選定されていること
- 調査が公平な方法で実施されていること
- 表示内容と調査結果が適切に対応していること
消費者庁は2024年9月26日に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました(消費者庁:実態調査)。同日の記者会見で長官は、満足度No.1と表示しながら、調査対象の商品・サービスの利用経験の有無を確かめずにアンケートを行っているなど、表示に見合った調査が行われていないものが少なからず見受けられたと説明しています(消費者庁:長官記者会見要旨(2024年9月26日))。
利用したことのない人に満足度を聞いた結果は、条件2の「調査対象者が適切に選定されている」かを問われる調査に当たります。長官は同じ会見で、報告書がNo.1表示に関する景品表示法上の考え方を示すもので、別にガイドラインを作る予定はないこと、2008年の公正取引委員会の報告書と併存することも述べています。
調査会社から提案されたNo.1表示も、中身を自社で確かめる
調査会社などの第三者が調査をしていても、No.1表示の景品表示法上の責任は広告主が負います。消費者庁のQ&Aは、「他社も同じ調査会社を利用しているから大丈夫」「調査会社が適法といっている」といった理由で、調査内容を確かめずに表示しないよう求め、社内での法的な検討や、必要に応じた弁護士への相談も含めて、調査内容と表示内容の対応を確かめるとしています(表示に関するQ&A)。
2024年の記者会見では、広告主が調査会社やコンサルティング会社からの積極的な勧誘に応じてNo.1表示を行い、根拠となる調査の内容を十分に理解しないまま広告している実態も明らかになったと説明されています(長官記者会見要旨)。提案を受けたら、まず調査票・回答者の条件・比較した相手の一覧・集計結果を受け取り、図1の4条件に当てはめます。
No.1の範囲・地域・期間・出典は、表示の近くに書く
No.1表示には、根拠の調査に即して、対象となる商品等の範囲、地域、調査の期間・時点、調査の出典を明りょうに表示することが望ましいとされています(公正取引委員会:No.1表示に関する実態調査について)。公正取引委員会が示した望ましい表示と、明りょうでない表示の例は次のとおりです。
| 項目 | 望ましい表示 | 明りょうでない表示の例(公正取引委員会) |
|---|---|---|
| 商品等の範囲 | 調査結果に即して、No.1の対象となる範囲を書く | 「お客様満足度○○部門No.1」(実際は通信販売される化粧品だけの調査) |
| 地理的範囲 | 調査対象の地域を、都道府県・市町村などの行政区画で書く | 「施術件数実績地域No.1」「地域No.1の合格実績」 |
| 調査期間・時点 | 直近の調査結果に基づき、対象の期間・時点を書く | 「オール電化住宅施工棟数5年連続○○県下No.1」 |
| 出典 | 調査会社名と調査の名称を具体的に書く | (例の記載なし) |
同じ資料は、出典とともに調査方法や結果をホームページアドレスなどで消費者が確認できるようにすることも一つの方法とし、第三者が作った既存のランキングを根拠にする場合は、その調査が客観的に実証された根拠に基づくかを確かめるとしています。2024年の記者会見でも、広告主は根拠となる情報を消費者が確認できるようにすることが望ましいとされています(長官記者会見要旨)。
4つの項目は、強調表示のすぐ下の2行ほどの注記に収められます。
他社と比べる表示では、調査結果を引用するとき、調査機関・調査時点・調査場所などの調査方法のデータを広告中に表示することが適当とされ、調査結果の一部を引用するなら調査の趣旨に沿って引用します。消費者庁は、他校と異なる方法で数値化した「大学合格実績No.1」を、適正な比較ではない例に挙げています(消費者庁:比較広告)。
根拠の資料を出せないと、不当表示とみなされる
効果・性能などの表示について、消費者庁長官から期間を定めて資料の提出を求められ、合理的な根拠を示せないと、その表示は措置命令との関係では不当表示とみなされ(第7条第2項)、課徴金納付命令との関係では不当表示と推定されます(第8条第3項)。これを不実証広告規制といいます(消費者庁:不実証広告規制)。
消費者庁のQ&Aは、資料の提出期限を求めた日から15日後として説明しています。延長は、書面での申出があり正当な事由がある場合に限られ、新たな試験・調査をする必要があるという理由は正当な事由と認められないとされています(表示に関するQ&A)。資料は、表示を始める前にそろえておく必要がある、という定義からの帰結になります。
合理的な根拠と認められるには、資料が客観的に実証された内容であることと、表示した効果・性能と資料で実証された内容が適切に対応していることの2つが必要です。消費者の体験談やモニターの意見を根拠にするなら、無作為抽出法で相当数のサンプルを選び、作為が生じないように調査するなど、統計的な客観性が必要です(不実証広告規制)。
同じ考え方から、消費者庁のQ&Aは、自社の従業員やその家族など利害関係のある人の体験談を集めた調査や、購入者から送られてきた体験談は、客観的に実証されたものとは認められないとしています(表示に関するQ&A)。
違反と認められると、措置命令や課徴金の対象になる
違反行為が認められると、消費者庁は誤認の排除・再発防止策の実施・同様の違反をしないことなどを命じる措置命令を行い、違反の事実が認められなくても、おそれのある行為には指導を行います。不当表示には、第5条第3号に係るものを除き、要件を満たす限り課徴金の納付が命じられます。都道府県知事も措置命令を行えます(消費者庁:景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?)。
打消し表示は、強調表示と一体で読める位置と大きさにする
打消し表示とは、強調表示(目立つ言葉で内容や取引条件を訴求する表示)に例外や条件があるときに付ける表示で、分かりやすく適切に示さなければ、強調表示が消費者に誤認され、景品表示法上の問題となるおそれがあります。2018年7月5日の消費者委員会では、委員長がこう整理し、消費者庁の表示対策課長は、強調表示と打消し表示が一体として認識できる方法を総合的に作ってほしいと説明しています(内閣府 消費者委員会:第279回本会議 議事録)。
消費者庁は打消し表示について、2017年7月14日・2018年5月16日・2018年6月7日に3本の実態調査報告書を公表し、考え方を「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」にまとめています(消費者庁:実態調査)。報告書と留意点はPDFのため、この記事では、同じ会議で表示対策課長が説明した内容を根拠にしています。
消費者庁の2017年の調査では、紙面・動画・Webのどれでも、打消し表示が小さい・短い・離れているという形で見落とされる条件がありました。
| 媒体 | 調査で分かった打消し表示の実態 |
|---|---|
| 新聞などの紙面 | 8ポイント未満の文字が56.9%。強調表示から5センチ以内のものが多い |
| 動画広告 | 表示時間が2秒以下のものが半数近く。強調表示と別の画面のものが20%強 |
| Web広告 | 強調表示から打消し表示までスクロールが必要なものが2割強 |
消費者への調査では、媒体別に見ておおむね6割が打消し表示を「見ない(読まない)」と答え、理由には文字が多く読むのが面倒、小さくて読みづらいなどが挙がりました。調査に使ったWeb広告の例では84.3%〜94.2%が打消し表示を見落とし、動画広告の例では9割を超える人が見落としていました(第279回本会議 議事録)。
見落とされる要素は、文字の大きさ・バランス・配置・背景
表示対策課長は、文字の大きさ、強調表示とのバランス、配置箇所、背景との区別によって打消し表示が認識できなくなる場合があり、動画広告では表示時間、別の画面か、音声で表示しているかも問題になると説明しています。強調表示だけに音声を付け、打消し表示を文字だけで出す場合は、認識できないおそれが高まるとしています(第279回本会議 議事録)。
単に直下に置く、ある程度の大きさにするだけでは万全ではない、とも説明されています。視線の調査では、強調表示の直下にあった「本商品を初めて購入の方に限ります」を認識した人は、その強調表示が印象に残った6人中0人でした。文字が比較的大きく、「初めてご購入の方に限り1箱で」と価格と一つの文脈で読める注記は、3人中3人が認識していました(第279回本会議 議事録)。
表示方法に問題がなくても、内容が理解できなければ問題になり得ます。調査では、打消し表示が明りょうに書かれていても2〜3割程度が誤認しており、表示対策課長は、強調表示はサービスの全体を反映しているのが原則で、打消し表示は例外的に示すものだという考えを示しています(第279回本会議 議事録)。
スマホのLPは、条件を折りたたみや申込みボタンの後ろに置かない
スマートフォンのLPでは、条件をアコーディオン(タップで開く折りたたみの欄)の中に入れたり、申込みボタンで注文フォームへ移る経路の外に置いたりすると、打消し表示が読まれないまま申し込まれるおそれがあります。2018年5月のスマートフォンの調査について、表示対策課長がこう説明しています(第279回本会議 議事録)。
同じ調査では、回答者551人のうち39.2%が、スマートフォンで打消し表示を見落として誤認し、購入・申込みをした経験があると答え、その76.4%は自宅でくつろいでいるときでした。「よくある質問」のアコーディオンは、項目名だけでは中に重要な条件があると分かりにくく、申込みボタン(コンバージョンボタン)がある場合は、特に打消し表示を認識できる形にする必要があると整理されています。
リンク先に条件を書く場合について、消費者庁は、リンクの文字にはリンク先に何があるかが分かる具体的な表現を使い、文字の大きさや配色で見落とされないようにし、関連する情報の近くに置く必要があるとしています。「送料無料」と強調して、東京都内だけという条件を小さなリンクの先に書く例を、誤認を招く例に挙げています。表示を変えたら更新日と変更箇所を書くことも求めています(消費者庁:インターネット上の広告表示)。
消費者庁の説明に沿うと、スマートフォンのLPでは、条件を価格と同じ文に入れ、申込みボタンより上に、折りたたまずに置きます。