結論
依頼の前に、目的・ページ構成・原稿と写真の分担・予算と公開希望日を書面にし、各社に同じ条件で見積もりを頼みます。比べるのは総額ではなく、含まれる作業・修正回数・公開後の費用と、著作権やドメインを自社に残せるかです。
この記事でわかること
依頼前に決める4項目と、提案依頼書に書く内容 要件の整理から公開・引き継ぎまでの6段階と、各段階で依頼者がやること 見積もりを初期費用・継続費用・条件で分け、12行の確認表で比べる方法(1年間の合計の試算つき) 著作権・ドメイン・管理者IDの名義を契約前に決める理由と、フリーランスに頼むときに示す9つの取引条件 制作会社を比べる質問リストと、業態ごとに先に確かめる項目 ホームページ制作を依頼する前に決めておくのは、サイトの目的、必要なページ、原稿と写真を誰が用意するか、予算と公開希望日の4つ です。これを提案依頼書(RFP:制作会社に見積もりと提案を依頼するための資料)にまとめて複数の会社に同じ条件で渡し、届いた見積もりは、作業項目・修正回数・公開後の費用・著作権とドメインの名義が書かれているかで比べます。
制作費の相場は、一次資料で確かめられなかったためこの記事では示しません。かわりに、外注するときの見積もりの確認表と、契約前に決める権利・名義の項目を、著作権法、公正取引委員会、Google 検索セントラルなどの資料をもとに整理します。この記事は2026年10月16日時点の公式情報に基づきます。
依頼前に決めるのは、目的・ページ・素材の分担・予算と公開日 ホームページ制作の依頼前に決めることは、目的(誰に何をしてもらうサイトか)、必要なページ、原稿と写真の分担、予算と公開希望日の4つで、どれかが欠けると会社ごとに見積もりの前提が変わり、金額を比べられなくなります。
決めること 提案依頼書に書く内容の例 欠けると決まらないこと 目的 問い合わせを増やす、採用の応募を集める、など。成果をどの行動で数えるか 構成、フォームと計測の範囲 必要なページ 今のサイトのページ一覧と、増やす・減らすページ ページ数と実装の量 原稿と写真の分担 原稿は自社で書くか制作会社に頼むか、撮影の有無 原稿作成・撮影の費用 予算と公開希望日 上限の金額、公開したい日付、社内で承認する人 提案の範囲と日程
成果をどの行動で数えるかは、公開後に効果を確かめるときの基準にもなります。問い合わせ・電話・予約のどれを成果とするかはコンバージョン計測の設計 で整理しています。今のサイトで問い合わせが少ないことが依頼のきっかけなら、ホームページの問い合わせを増やす方法 の手順で流入と導線のどこで止まっているかを確かめておくと、作り直す範囲を決める材料になります。
広告の受け皿として1ページだけ作る場合は、LP(ランディングページ)の制作になります。LPの費用を決める要因と制作会社の確認点はランディングページ制作の費用・期間・制作会社の選び方 にまとめています。
ホームページ制作の流れは6段階で、各段階に依頼者の確認がある ホームページ制作の流れは、要件の整理、見積もり・契約、設計、デザイン、実装・公開前の確認、公開・引き継ぎの6段階で、どの段階にも依頼者が承認や素材の提供をする作業があります。
図1 ホームページ制作の流れと依頼者がやること。FrameworkのWebサイト制作の工程に、見積もり・契約と公開前の確認を加えて並べたもの(Framework作成) 図1の段階は、FrameworkのWebサイト制作の工程(目的と情報を整理→サイト構造を設計→制作と技術設計→引き継ぎと改善設計)に、見積もり・契約と公開前の確認を加えたものです。設計の段階で作るサイトマップはページの一覧と階層、ワイヤーフレームは各ページに載せる要素と順番を示す骨組みです。
デザインに入ってから構成を変えると、契約で決めた修正回数の中に収まらないことがあるため、構成と原稿は設計の段階で承認します。期間はページ数・機能・原稿と写真がそろう時期で変わり、FrameworkのWebサイト制作では約6〜8週間を既存の目安としています(ページ数・機能・素材で変動。Webサイト制作の支援内容 )。依頼するときは公開したい日付を伝え、工程表に依頼者が原稿や確認を返す期限も書いてもらいます。
見積もりは総額ではなく、作業項目と含まれない作業で比べる ホームページ制作の見積もりは、総額ではなく、どの作業が含まれ、どの作業が含まれないかで比べます。同じ総額でも、原稿作成や撮影、公開後の保守が含まれるかどうかで、依頼者が別に負担する作業と費用が変わるためです。
見積もりの行を、公開までの初期費用、公開後の継続費用、条件で変わる費用の3つに並べ直すと、どの会社の見積もりに何が抜けているかが分かります。継続費用には、たとえばドメインの更新が入ります。JPドメイン名は1年ごとに登録を更新する仕組みです(JPRS:よくある質問(JPドメイン名の各種申請について) )。
図2 見積もりの3つの区分。Frameworkのよくある質問にある見積もりの分け方(制作費・ツール利用料・追加対応・税込と税別)をもとに作成(Framework作成) 見積もりの各行は、成果物と回数・範囲が書かれているかで確かめ、「一式」とだけ書かれた行は内訳を出してもらいます。ページ数や修正回数の前提が分からないと、他社の見積もりと比べられないためです。
見積もりの項目 確かめること 進行管理(ディレクション) 打ち合わせの回数、連絡の方法、日程を管理する担当 要件整理・設計 サイトマップとワイヤーフレームが成果物に入るか 原稿 制作会社が書くか、支給した原稿を載せるだけか 写真・素材 撮影の有無、素材を使える範囲と期間 デザイン 提案される案の数、修正の回数、超えたときの費用 実装 ページ数、スマートフォンでの表示、追加ページの単価 CMS(ホームページを更新する管理システム) 自社で更新できる範囲、操作方法の説明の有無 フォーム・計測 送信先と自動返信、送信完了ページ、アクセス解析の設定 検索向けの基本設定 ページごとのタイトルと説明文を誰が書くか 旧サイトからの移行 URLが変わるページの転送(301リダイレクト) 公開作業 サーバー・ドメインの契約者と、設定を行う担当 保守 月額に含まれる作業(更新、バックアップ、ソフトウェアの更新)と対応する時間帯
検索向けの基本設定で確かめるのは、ページごとのタイトルと説明文です。SEO(検索エンジン最適化)の基本をまとめたGoogle 検索セントラルの SEO スターター ガイド は、タイトルリンク(検索結果の見出し)がクリックする検索結果を選ぶ参考になるとし、検索結果の説明文にはメタ ディスクリプションの内容が使われることもあると説明しています。同じ資料は、変更が Google に反映されるまでにある程度の時間がかかるとしています。
URLが変わるリニューアルでは、旧URLから新URLへの転送の作業が見積もりに入っているかを確かめます。対応表の作り方と公開前後の確認は、ホームページリニューアルで検索順位を落とさない手順 にまとめています。
制作費は、ページ数・原稿・機能・保守の条件で決まる ホームページ制作の費用は、ページ数、原稿と写真を誰が用意するか、フォームや予約・決済などの機能、公開後の保守の範囲という条件で決まるため、この記事では金額の相場を示しません。検索上位の記事にはサイトの種類ごとの金額を載せたものもありますが、確認した範囲では調査の方法や出典が示されておらず、一次資料で確かめられませんでした。
金額は、条件をそろえてから比べます。初期費用が安い見積もりでも、継続費用を含めた1年間の合計では逆になることがあり、計算は「1年間の合計=初期費用+保守の月額×12か月」で確かめられます。
条件(金額はすべて仮定・税別) A社 B社 初期費用 60万円(原稿は自社で用意) 80万円(原稿作成を含む) 保守の月額 1万円 5,000円 1年間の合計 60万+1万×12=72万円 80万+0.5万×12=86万円
この試算では、14万円の差の中に原稿作成の有無が含まれているので、A社に頼むなら原稿を自社で書く時間も見込みます。保守の月額に含まれる作業が両社で違えば、さらに比べ方が変わります。Frameworkも、支援範囲、ページ数、期間、保守の範囲で個別に見積もり、制作費・ツール利用料・追加対応・税込と税別の扱いを分けることをよくある質問 で示しています。
目的と必要なページの整理から見積もりの範囲を決め、構成・デザイン・実装・公開後の計測まで一緒に進めます。
無料相談を申し込む↗ 著作権・ドメイン・アカウントの名義は、契約前に書面で決める ホームページの著作権、ドメインの登録者、サーバーやアクセス解析の管理者を誰にするかは、契約前に書面で決めます。決めないまま公開すると、制作会社を変えるときや自社で作り変えたいときに、移す手続きや相手の許諾が必要になる場合があるためです。
図3 契約で決める権利と名義の6項目。著作権法第59条・第61条、JPRS「よくある質問」、Google 検索セントラル「SEO が必要かどうか」をもとに作成(Framework作成) 著作権は、契約で全部または一部を譲渡できます。ただし著作権法 第61条第2項は、譲渡の契約で第27条(翻訳・翻案などの権利)や第28条(二次的著作物の利用に関する権利)が譲渡の目的として「特掲」されていないときは、これらの権利は譲渡した側に残ると推定すると定めています。
この条文から、「著作権を譲渡する」とだけ書いた契約では、作り変え(翻案)などの権利が制作会社側に残ると推定されることになります。譲渡を受けるなら、第27条・第28条の権利を含むと契約書に書きます。また、著作者人格権は譲渡できません(第59条)。契約書の文言は、個別に弁護士に確認してください。
ドメインは、登録者を自社にします。JPドメイン名の登録情報の変更は管理を委託している指定事業者を通じて行い、どの指定事業者が管理しているかは、登録者か連絡担当者であることが確認できた場合にしか知らされません。事業譲渡などで別の会社に移すときは移転申請の手続きを使います(JPRS:よくある質問 )。
これらの決まりから、制作会社が登録者のままだと、自社へ移すときにも移転の手続きが要ることになります。.comなどJP以外のドメインは、管理している事業者の規約で確かめます。
アクセス解析やSearch Consoleは、所有者を自社にして、制作会社には作業に必要な権限を渡します。Google 検索セントラル「SEO が必要かどうか」 は、SEO業者の候補には最初は Search Console の読み取り権限だけを付与し、書き込み権限は付与しないよう勧めています。この資料はSEO業者を選ぶ場面のものですが、必要な範囲の権限から渡すという考え方は、制作会社に作業を任せる場合にも当てはまります。SEOの作業を別の業者に頼む場合の質問と避けたい手法は、SEO対策の外注で確認すること にまとめています。
Frameworkも、制作物の権利、アカウントの名義・管理権限、素材や外部サービスの利用条件、契約終了時の引き継ぎを、契約前に合意することにしています。
フリーランスに依頼するときは、9つの取引条件を書面かメールで示す 従業員を使用しない事業者(フリーランス)にホームページ制作を委託するときは、発注する側が、給付の内容や報酬の額など9つの取引条件を、直ちに書面またはメール・SNSのメッセージなどの電磁的方法で示す義務があり、口頭での明示は認められていません(公正取引委員会:フリーランス法特設サイト )。示す9項目は次のとおりです。
給付の内容 報酬の額 支払期日 業務委託事業者・フリーランスの名称 業務委託をした日 給付を受領する日(役務の提供を受ける日) 給付を受領する場所(役務の提供を受ける場所) 検査をする場合は、検査完了日 現金以外の方法で報酬を支払う場合は、支払方法に関して必要な事項 報酬の支払期日は、成果物を受け取った日から数えて60日以内のできる限り短い期間内で定め、その期日までに支払う必要があります。1か月以上の業務を委託した場合は、受領拒否、報酬の減額、費用を負担せずに注文内容を変更したり受領後にやり直しをさせたりすることなど、7つの行為が禁止されています(公正取引委員会:フリーランス法特設サイト )。
制作の依頼に当てはめると、発注のメールに、作るページと修正の回数(給付の内容)、金額、納品日、検収をする場合はその完了日、支払期日を書けば、9項目の多くを一度に示せます。費用を負担せずに受領後のやり直しをさせることは禁止行為に挙がっているため、決めた修正回数を超えた分の扱いも発注時に決めておきます。個別の取引が対象になるかは同じ特設サイトで確かめ、迷う場合は専門家に相談してください。
制作会社の選び方は、同じ質問への答えで比べる 制作会社の選び方は、制作例の見た目だけでなく、同じ質問に具体的に答えられるかで比べます。次の質問リストは、Google 検索セントラル「SEO が必要かどうか」 がSEO業者の候補との面談で確かめるよう挙げている質問を、Frameworkがホームページ制作の依頼に当てはめ、確かめる順に並べたものです。
過去の作業のサンプルと、同じ業種での制作例を見せてもらえるか(Googleの質問の「過去の作業のサンプル」「同業種での実績」) 期待される結果とその時期、成果をどのように測定するか(同「期待される結果とその時期」)。問い合わせなどをどの設定で数えるかまで答えられるか 担当者とどのように連絡をとるか(同「担当者との連絡」)。打ち合わせの回数と、確認を返す期限 図2の継続費用(サーバー・ドメイン・保守)の金額と、保守に含まれる作業 図3の6項目を、自社に残す形で契約できるか アクセシビリティに対応する場合、どの規格を基準にするか 6のアクセシビリティは、高齢の人や障害のある人も含めて誰もがサイトを使えるようにすることです。デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」 は、JIS X 8341-3:2016を現在規格として参照されることが多いものとし、発注・受託に取り組む人が受託事業者と適切にコミュニケーションできるようになることを目指した資料です。対応を求めるなら、この規格を基準にすることを提案依頼書に書き、どこまで対応するかを制作会社と決めます。
業態によって、見積もりで先に確かめる項目が違う 見積もりで先に確かめる項目は業態で変わり、問い合わせ型はフォームと計測、予約・来店型は予約の仕組みと外部サービスへのリンク、EC型は決済とセキュリティの保守を先に見る、というのがこの記事の判断基準です。成果を数える行動が起きる場所(自社のフォーム、予約の仕組み、カート)が業態ごとに違うためです。
業態 先に確かめる項目 理由 問い合わせ型(工務店・士業・BtoBサービス) フォームの送信先・自動返信・送信完了ページ、事例ページを自社で追加できるか 問い合わせを数える設定と、公開後に事例を増やす担当が決まる 予約・来店型(店舗・美容室・クリニック) 予約の仕組み(自社のフォームか外部の予約サービスか)、営業時間・地図の更新方法 予約の完了がサイトの外で起きる場合、計測の方法が変わる EC型(ネットショップ) カート・決済の仕組み(自社で構築するかサービスを使うか)、ソフトウェアの更新と保守 構築の方法でセキュリティ対策の担当と範囲が変わる
予約・来店型は、Googleマップに出る店舗情報からサイトへ来る人もいるため、公開後にプロフィールに載せるURLも確かめます。プロフィールの整え方はGoogleビジネスプロフィールで地域から集客する方法 で扱っています。
EC型について、IPA「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」 は、ECサイトからの個人情報やクレジットカード情報の流出事件が多数発生し、被害の大半を中小企業の自社構築サイトが占めているとしています。同ガイドラインは構築時・運用時のチェックリストを付録にし、外部委託先の事業者も想定読者に含めているので、自社で構築するなら、このチェックリストのどこまでを見積もりと保守の範囲に入れるかを制作会社と確かめます。
まとめ 依頼を決めたら、まず図1の「要件の整理」として、目的と成果の数え方、今のページ一覧、原稿と写真の分担、予算の上限と公開したい日付を1枚の提案依頼書に書き出してください。見積もりが届いたら、各社の行を図2の3つの区分に並べ直して1年間の合計を計算し、確認表の12行のうち書かれていない行を質問します。
契約の前には、図3の6項目、とくに著作権の条文に第27条・第28条が書かれているかと、ドメインの登録者が自社になっているかを確かめます。フリーランスに頼む場合は、9項目を発注のメールに書いてから作業を始めてもらいます。
よくある質問
制作会社に「検索で1位にできる」と言われたら、信用してよいですか? Google 検索セントラル「SEO が必要かどうか」は、Googleで一番上に掲載されることは誰にも保証できないとし、検索結果の最初のページに必ず表示されるようになると言う業者がいれば、他の業者を探すよう勧めています。制作の段階で整えられるのは、ページごとのタイトルや説明文など、検索する人に内容を伝える部分です。見積もりに「SEO対策」の行がある場合は、どの作業を何ページ分行うのかを書いてもらいます。
著作権を譲り受ければ、納品後にデザインや文章を自由に変えられますか? 著作権を譲り受けても、著作者人格権は著作権法第59条により譲渡できず、著作者には第20条の同一性保持権(意に反して変更・切除などの改変を受けない権利)が残ります。納品後に自社や別の制作会社で手を加える予定があるなら、改変するときの人格権の扱いを契約で決めておきます。契約書の文言や個別の当てはめは、弁護士に確認してください。
公開後の保守費用は払わないといけませんか? 保守を契約に含めるかどうかは依頼者と制作会社が決める事項で、含めない場合は、サーバーとドメインの更新、CMSや追加機能のソフトウェアの更新、バックアップを自社で行うことになります。ECサイト向けの資料ですが、IPA「ECサイト構築・運用セキュリティガイドライン」は、サーバや管理端末のソフトウェアの最新化を対策の要件に挙げています。保守を頼むなら、月額に含まれる作業と、含まれない改修の費用を見積もりに書いてもらいます。 目的と必要なページの整理から見積もりの範囲を決め、構成・デザイン・実装・公開後の計測まで一緒に進めます。
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