結論
広告予算(月額)は「売上の何%」ではなく、問い合わせ1件に使ってよい広告費の上限(許容CPA。円/件)に、月に必要な問い合わせ件数を掛けて決めます。許容CPAは(成約1件の粗利−成約1件で残したい利益)×商談化率(分母は問い合わせ)×成約率(分母は商談)です。予算が先に決まっているなら、予算÷許容CPAで取れる問い合わせ件数を確かめます。
この記事でわかること
- 広告費の売上に対する割合が業種で大きく違い、予算の目安にならない理由(東京商工リサーチの集計)
- 粗利・商談化率・成約率から限界CPA・許容CPA・月の広告予算を出す5つの手順と試算表
- 問い合わせ型、予約・来店型、EC型(ROAS)それぞれの限界CPAの式
- 月の予算をGoogle広告の1日の平均予算(÷30.4)とMeta広告の1日の予算・通算予算に換算する方法
- 配信の前後で予算を確かめる順序と、外注の手数料を含めた1件あたりの費用の計算
広告予算は、1件の問い合わせ(予約・購入)に使ってよい広告費の上限(許容CPA)を自社の粗利と、問い合わせが成約に至る割合から出し、月に必要な問い合わせの件数を掛けて決めます。式にすると月の広告予算の上限(円)=許容CPA(円/件)×月に必要な問い合わせ件数(件)です。
CPA(Cost Per Acquisition)は、成果1件を得るのにかかった広告費のことです。この記事では、商談化率を問い合わせのうち商談(見積もり・面談など)に進んだ割合、成約率を商談のうち契約に至った割合とし、2つを掛けたものを成約までの割合(商談化率×成約率。分母は問い合わせ)と呼びます。
問い合わせ型なら、問い合わせ1件が生む粗利の見込みは「成約1件の粗利×成約までの割合」です。ここまで広告費を使うと粗利がすべて広告費に消える額を限界CPA、そこから残したい利益を引いた額を許容CPAとします。
たとえば成約1件の粗利が30万円、成約までの割合が10%なら、限界CPAは3万円です。粗利の半分を利益として残すなら許容CPAは1.5万円で、月20件の問い合わせを目標にすると、月の広告予算の上限は30万円になります(数値はすべて仮定)。
「広告費は売上の何%が目安か」という問いには、どの会社にも当てはまる割合はない、というのが答えです。東京商工リサーチの集計でも、売上に対する宣伝費の割合は業種によって大きく違います(東京商工リサーチ TSRデータインサイト:宣伝費の動向調査)。
この記事では、自社の数字から予算を出す手順を、試算表・業態別の当てはめ例・Google広告とMeta広告の予算設定とあわせて整理します。媒体の予算の仕組みの説明は、2026年10月11日時点の公式情報に基づきます。
広告費は売上の何%が目安か:業種による差が大きく、割合では決められない
広告費の売上に対する割合は業種による差が大きく、自社の予算の目安にできる共通の割合はありません。
東京商工リサーチは、自社の財務データベースのうち販売費及び一般管理費の内訳が分かる企業を対象に、広告宣伝費と販売促進費を合わせた「宣伝費」を集計しています。2023年度(2023年4月期〜2024年3月期)の集計では、売上に対する宣伝費の割合は平均1.3%ですが、業種別では2割近い業種もあります(東京商工リサーチ TSRデータインサイト:宣伝費の動向調査)。
- 宣伝費を計上した8万7,490社の売上宣伝費比率(売上に対する宣伝費の割合)は平均1.3%。資本金1億円以上は1.9%、1億円未満は0.5%
- 販管費の内訳が分かる26万5,253社のうち、比率が5%以上の企業は1.3%
- 業種別(細分類)では職業紹介業が18.8%、化粧品小売業が18.4%と高い。比率が5%以上の企業の割合は、結婚式場業が66.6%、エステティック業が47.6%
業種の差に加えて、同じ割合の広告費でも、残る利益は粗利率で変わります。たとえば売上の10%を広告費にすると、粗利率50%の事業では粗利の5分の1ですが、粗利率20%の事業では粗利の半分が広告費になります(図1。計算例)。
図1 同じ「売上の10%」でも、粗利に占める広告費の割合は粗利率で変わる(計算例)(Framework作成)売上に対する割合は、過去の決算の宣伝費を売上で割った結果です。これから広告を増やす事業や新しい商品では、その割合に、これからの広告で取れる件数や粗利は入っていません。
インターネット上では「売上の3〜10%」などの目安も見かけますが、2026年10月6日に確認した検索上位の記事では、根拠となる調査は示されていませんでした。自社の粗利と成約までの割合から出した上限なら、予算の額を「1件あたりいくらまで」と「月に何件」の2つの数字に分けて示せます。
許容CPA・限界CPAとは:問い合わせ1件に使える広告費の上限
限界CPAは問い合わせ1件にここまで使うと粗利がすべて広告費に消える額で、許容CPAはそこから残したい利益を引いた、実際に使ってよい1件あたりの上限です。
問い合わせ型では、成約1件の粗利に成約までの割合(商談化率×成約率。分母は問い合わせ)を掛けた額が限界CPAになります。商談化率は問い合わせのうち商談に進んだ割合、成約率は商談のうち契約に至った割合です。予算の計画に使うのは許容CPAで、限界CPAから問い合わせ1件あたりの残したい利益(成約1件で残したい利益×成約までの割合)を引いて出します。
| 用語 | この記事での意味 | 計算式(問い合わせ型) |
|---|
| CPA | 実際にかかった、成果1件あたりの広告費(実績) | 広告費÷成果の件数 |
| 限界CPA | ここまで使うと、粗利がすべて広告費に消える1件あたりの額(損益分岐点) | 成約1件の粗利×商談化率×成約率 |
| 許容CPA | 限界CPAから残したい利益を引いた、実際に使ってよい1件あたりの上限 | 限界CPA−問い合わせ1件あたりの残したい利益(成約1件で残したい利益×成約までの割合) |
限界CPAまで使い切ると、成約で得た粗利がすべて広告費に回り、人件費や家賃などの固定費をまかなう分が残りません。そのため、月の予算は利益を残した許容CPAで決めます。
これらは媒体や法令で決まった用語ではなく、資料によって意味が違います。同じ「限界CPA」でも利益を引く前の額を指す資料と引いた後の額を指す資料があり、利益を引いた後の額を「目標CPA」と呼ぶ資料もあります。呼び方だけでは額が決まらないため、社内や外注先と「限界CPA」「目標CPA」の数字を比べるときは、利益を引く前の額か、引いた後の額かを確かめてから比べます。
なお、Google広告の入札戦略「目標アクション単価」(いわゆる目標CPA)は、コンバージョン(問い合わせ・購入などの成果)1件あたりの希望する平均の単価を指定する設定です。1件ごとの単価は目標を上回ることも下回ることもあります(Google 広告ヘルプ:「目標アクション単価」入札戦略について)。
目標を低くしすぎると、コンバージョンにつながる可能性のあるクリックを逃して件数が減ることがあります(同)。目標アクション単価は1件あたりの平均の単価なので、許容CPAより高く設定すると、平均で見て残したい利益に届かない計画になります。
広告予算を逆算する5つの手順:粗利から許容CPAを出し、必要な件数を掛ける
月の広告予算の上限は、成約1件の粗利と成約までの割合から限界CPA・許容CPAを出し、目標の成約件数から求めた問い合わせ件数を掛ける5つの手順で出します。図2の仮定の数値(粗利30万円・成約までの割合10%・成約月2件)で計算すると、上限は月30万円です。
- 成約1件あたりの粗利を出す:平均の成約単価に粗利率を掛けます。外注費や材料費など、成約ごとに増える費用は差し引いておきます。
- 成約までの割合を出す:過去の問い合わせを数え、商談化率と成約率を掛けます。記録がなければ仮の値で始め、実績が出たら置き換えます。
- 限界CPAを出す:手順1の粗利に、手順2の割合を掛けます。
- 許容CPAを決める:限界CPAから、問い合わせ1件あたりの残したい利益(成約1件で残したい利益×成約までの割合)を引きます。運用代行の手数料や制作費も広告の獲得費用として見る場合は、その分も差し引きます。
- 目標件数を掛けて月の予算にする:目標の成約件数を手順2の割合で割ると、必要な問い合わせ件数が出ます。許容CPAにこの件数を掛けた額が、月の広告予算の上限です。
図2 粗利から月の広告予算の上限を出す計算(問い合わせ型。数値はすべて仮定)(Framework作成)この方法では、予算の額と同時に「1件あたりいくらまでなら続けてよいか」という基準も決まります。配信を始めた後は、実際のCPAを許容CPAと比べて、続けるか・直すか・増やすかを判断できます。
試算表:粗利30万円・成約までの割合10%なら月の広告予算は30万円(仮定)
成約1件の粗利30万円、成約までの割合10%、粗利の半分を残す、目標の成約月2件という仮定では、月の広告予算の上限は30万円です。工務店・リフォーム会社・士業など、問い合わせから商談を経て成約する業態を想定した試算で、数値はすべて計算のための仮定です(実在の事例ではありません)。月30万円は、許容CPA1.5万円に必要な問い合わせ月20件を掛けた額です。
| 項目 | 値 | 計算 |
|---|
| 成約1件の売上 | 100万円 | 仮定 |
| 粗利率 | 30% | 仮定 |
| 成約1件の粗利 | 30万円 | 100万円×30% |
| 商談化率 | 40% | 仮定(問い合わせ→商談) |
| 成約率 | 25% | 仮定(商談→成約) |
| 成約までの割合 | 10% | 40%×25% |
| 限界CPA | 3万円 | 30万円×10% |
| 成約1件で残したい利益 | 15万円 | 仮定(粗利の半分) |
| 許容CPA | 1.5万円 | (30万円−15万円)×10% |
| 目標の成約件数 | 月2件 | 仮定 |
| 必要な問い合わせ件数 | 月20件 | 2件÷10% |
| 月の広告予算の上限 | 30万円 | 1.5万円×20件 |
前提:広告予算は媒体に払う広告費(媒体費)だけを指し、運用手数料・制作費・社内の人件費は含めていません。問い合わせはすべて広告から来て、同じ月のうちに成約まで進むと仮定しています。商談から成約までに1か月以上かかる業態では、その月の問い合わせの成約が翌月以降に計上されるため、成約は数か月分をまとめて見ます。
限界CPAの3万円で計算すると、月60万円(3万円×20件)までは広告費が粗利を上回りませんが、残る粗利はゼロです。許容CPAで組んだ月30万円なら、2件の成約で得る粗利60万円のうち30万円が残ります。
予算が先に決まっている場合は、取れる件数を確かめる
「月◯万円まで」と予算が先に決まっている場合は、逆に、許容CPAで取れる件数を確かめます。試算の許容CPA1.5万円のままなら、月10万円で取れる問い合わせは約6.7件、見込める成約は約0.7件です。
| 月の広告予算 | 許容CPA1.5万円で取れる問い合わせ | 見込める成約(×10%) |
|---|
| 10万円 | 約6.7件 | 約0.7件 |
| 30万円 | 20件 | 2件 |
| 50万円 | 約33.3件 | 約3.3件 |
月10万円では、許容CPAどおりに問い合わせが取れても、見込める成約は月約0.7件で、成約が0件の月があっても見込みの範囲内です。3か月分なら見込みは約2件(約0.7件×3か月)になるため、この規模では成約を3か月ほどまとめて見て、毎月の判断には問い合わせ数と商談化率を使う、という分け方になります。
業態で「成果1件」が変わる:問い合わせ型、予約・来店型、EC型の限界CPAの式
限界CPAの式は「成果1件」で変わり、問い合わせ型は成約1件の粗利×成約までの割合、予約・来店型は来店1回の粗利×予約から来店に至る割合、EC型は購入1回の粗利です。問い合わせ型は問い合わせ、予約・来店型は予約、EC型は購入を1件として数えます。仮定の数値で計算すると、限界CPAは問い合わせ型が3万円、予約・来店型が3,200円、EC型が4,000円です(数値はすべて仮定)。
| 業態 | 成果1件 | 限界CPAの式 | 試算(仮定) |
|---|
| 問い合わせ型(工務店・士業・BtoBなど) | 問い合わせ | 成約1件の粗利×商談化率×成約率 | 30万円×40%×25%=3万円 |
| 予約・来店型(美容室・整体院・クリニックなど) | 予約 | 来店1回の粗利×予約から来店に至る割合 | 4,000円×80%=3,200円 |
| EC型(ネットショップ) | 購入 | 購入1回の粗利(購入単価×粗利率) | 1万円×40%=4,000円 |
EC型は広告費用対効果(ROAS)でも同じ上限を表せる
購入と売上をそのまま計測できるEC型では、ROAS(広告費用対効果。広告経由の売上÷広告費×100%)で上限を表すこともできます。Google広告のヘルプも、売上500円÷広告費100円×100%=500%という計算で目標広告費用対効果を説明しています(Google 広告ヘルプ:目標広告費用対効果に基づく入札について)。
この定義から、粗利率40%の商品で広告費と粗利が同じになる(利益が残らない)ROASは、1÷40%×100%=250%です。限界CPA4,000円の半分の2,000円を許容CPAにするなら、ROASでは500%(1万円÷2,000円×100%)が目安になります。
送料・決済手数料など注文ごとに増える費用を引かずに粗利率を出すと、その分だけ限界CPAが高く出るため、粗利率は商品の原価とあわせてこれらの費用も引いて計算します。
予約・来店型はリピートを含めるかを決める
リピートが多い業態では、LTV(顧客生涯価値。1人の顧客が取引を続ける間にもたらす売上や利益)で計算すると、初回だけで見るより許容CPAを高くできます。表の例で1年に平均4回来店するなら、予約1件の限界CPAは4,000円×4回×80%=12,800円です。
ただし広告費は先に出ていき、回収は2回目以降の来店を待つことになります。表の12,800円は「1年に4回来店する」という仮定の値なので、LTVで計算する場合も、何年分の来店を数えるか(回収する期間)と、その期間の来店回数を自社の実績から決めます。予約のキャンセルや無断キャンセルが多い場合は、予約から来店に至る割合を実績に合わせて見直します。EC型の定期購入やリピート購入も同じ考え方です。
月の予算はGoogle広告では1日の平均予算に、Meta広告では1日の予算か通算予算に換算する
月の予算は、Google広告では「月の予算÷30.4」で1日の平均予算に、Meta広告では「月の予算÷その月の日数」で1日の予算に換算するか、掲載期間を月末までにした通算予算で設定します。割る数が違うのは、Google広告は1か月の費用の上限を1日の平均予算の30.4倍(ほとんどのキャンペーン)とし、Meta広告は1日の予算を日曜〜土曜の1週間の平均として扱うためです。
| 項目 | Google広告 | Meta広告 |
|---|
| 予算の種類 | キャンペーンごとの1日の平均予算。開始日と終了日が決まった新しいキャンペーンでは、キャンペーンの合計予算も選べる | キャンペーンまたは広告セットごとの1日の予算か通算予算 |
| 1日の予算の意味 | 1か月を通して1日ごとに使ってよい平均の額 | 日曜〜土曜の1週間で1日あたりに消化する平均の額 |
| 日ごとの変動 | ある日の費用が1日の平均予算の2倍になることもある(ほとんどのキャンペーン) | 1日の予算を最大75%上回って消化する日がある |
| 期間の上限 | 1か月の費用は1日の平均予算の30.4倍まで(ほとんどのキャンペーン) | 1週間では1日の予算の7倍まで。通算予算は掲載期間全体で超えない上限 |
| 月の予算からの目安(計算) | 1日の平均予算=月の予算÷30.4 | 1日の予算にするときは月の予算÷その月の日数 |
表の内容は、Google 広告ヘルプ:予算の概要・費用の上限について・キャンペーンの合計予算額について、Meta:予算について・1日の予算についてによります。どちらの媒体から始めるかは、Meta広告とGoogle広告の違いで比べています。
どちらの媒体でも、1日の予算は超えてはならない上限ではなく平均の額で、上限は1か月や1週間などの期間の合計でかかります(図3)。
図3 1日の予算は平均の額で、上限は期間の合計でかかる(日ごとの棒の高さはイメージ)。Google 広告ヘルプ「費用の上限について」、Meta「1日の予算について」をもとに作成(Framework作成)Google広告の予算設定:1日の平均予算は月の予算÷30.4
Google広告の1日の平均予算は、月の予算÷30.4が目安です。ほとんどのキャンペーンで1か月の費用の上限が、1日の平均予算に1か月の平均日数の30.4日(365日÷12か月)を掛けた額です(Google 広告ヘルプ:費用の上限について)。試算の月30万円なら、1日の平均予算は30万円÷30.4≒9,860円(10円未満切り捨て)が目安です。
月の途中で1日の平均予算を変えると、その月の残りの期間は「新しい1日の平均予算×その月の残りの日数」を目安に、費用のペースが調整されます。月の途中で始めたキャンペーンは、実施した日だけが請求の対象です(同)。
キャンペーンの合計予算は、期間を決めて一定額を使いたい場合に向く設定で、残りの日数で使い切るように毎日の費用が調整され、合計予算を超えて請求されることはありません。使えるのは新しいキャンペーンだけで、作成後に予算の種類は変えられず、最小期間は3日です(Google 広告ヘルプ:キャンペーンの合計予算額について)。
アカウントの作成から配信開始までの流れはGoogle広告の始め方(予算と地域の設定)で解説しています。クリック単価の決まり方と、配信費用が上限を超えたときの請求の扱いは、Google広告の費用の仕組みで説明しています。
Meta広告の予算設定:1日の予算か通算予算を選ぶ
Meta広告では、毎日ほぼ同じ金額を消化して1日あたりの結果を安定させたいなら1日の予算、全体の消化金額を決まった額に収めたいなら通算予算が向いているとされています(Meta:1日の予算について)。1日の予算は、超えてはならない上限ではなく、日曜〜土曜の1週間で1日あたりに消化する平均の額です。
日によっては1日の予算を最大75%上回って消化することがありますが、1週間では1日の予算の7倍を超えません。広告セットの予算共有をオンにした場合は、他の広告セットと共有する分だけ上限が上がります。公式の例(米ドル)では、1日の予算が$100なら1週間の上限は$700、予算共有をオンにすると$840です(Meta:1日の予算について)。
通算予算は、キャンペーンまたは広告セットの掲載期間全体で消化する合計額で、平均ではなく超えてはならない上限です(Meta:予算について)。通常配信の場合、期間全体でなるべく均等に消化されますが、成果を期待できる日に多く消化することもあります(Meta:通算予算について)。Metaの請求の説明でも、通常、設定した予算を超える料金は請求されないとされています(Meta:広告料金の請求のしくみ)。
月の予算を超えたくない場合は、掲載期間を月末までにした通算予算を使うか、すべてのキャンペーンを通じた通算の上限である「広告アカウントの上限予算」を設定する方法があります。広告アカウントの上限予算は[支払い設定]から手動でリセットでき、一部の広告主は毎月1日に自動でリセットするオプションも使えます(Meta:予算、上限予算、プリペイド残高の上限と支払い単位額の違い)。
配信の前は見積もりと学習の件数、配信の後は実績のCPAで予算を確かめる
計算した許容CPAで成果が取れるかは、配信の前はGoogle広告のキーワードプランナーの見積もりとMeta広告の学習に必要な件数で、配信の後は実績のCPA・商談化率・成約率で確かめます。
始める前:見積もりの1件あたりの費用と、学習に必要な週の予算を確かめる
検索広告では、Google広告のキーワードプランナーで、キーワードの検索数の見込みや費用の見積もりを確認できます。プランを作ると、費用に応じて見込まれるコンバージョン数・クリック数・表示回数の予測も表示されます(Google 広告ヘルプ:キーワード プランナーを使う)。
基本機能を使うにはお支払い情報の入力などアカウント設定の完了が必要で、実際の成果は入札単価・予算・広告の品質・地域ターゲティングなど多くの要因の影響を受けます(同)。予測の費用をコンバージョン数で割った1件あたりの費用が許容CPAを上回るなら、配信を始める前に、粗利・残したい利益・成約までの割合の前提から見直します。
Meta広告では、配信システムが学習している情報収集期間(いわゆる学習期間)は、通常、最後の大幅な編集から1週間以内に約50件の結果を得た後に終わります(Meta:情報収集期間について)。
試算の許容CPA1.5万円で問い合わせを最適化の対象にすると、1週間で50件には週75万円が必要です。月30万円の予算は、月=4.3週で換算すると週約7万円(30万円÷4.3)で、許容CPAどおりでも週約4.7件にとどまり、約50件には届きません。
こうした場合に件数を取りやすい手前の段階を最適化の対象にする設計は、Meta広告の予算はいくらからか(学習期間から逆算する設計)で解説しています。
始めた後:実績のCPAを許容CPA・限界CPAと比べて予算を決める
実績のCPAが許容CPA・限界CPAのどの範囲にあるかで、予算を増やすか、直すかを決めます(図4)。媒体が定めた手順ではなく、この記事の計算に沿った判断の順序の例です。
- 毎月、広告ごとにCPA・商談化率・成約率を記録する:商談と成約は問い合わせの後に起きるため、問い合わせの時点の流入元(どの広告から来たか)と結びつけて記録します。何をどこで測るかはコンバージョン計測の設計(業態別の設計表)で整理しています。
- 実績の割合で限界CPA・許容CPAを計算し直す:記録した商談化率・成約率で計算し直します。値上げなどで粗利率が変わった場合も、同じように計算し直します。
- 実績のCPAが許容CPA以下のとき:予算を少しずつ増やし、増やした後のCPAも許容CPAに収まるかを確かめます。Meta広告では、予算を変更すると広告セットが再び情報収集期間に入る可能性があり、情報収集期間中は通常CPAが高くなるとされています(Meta:情報収集期間について)。
- 許容CPAを上回り、限界CPA以下のとき:赤字ではありませんが、残したい利益に届いていません。予算を増やす前に、広告の内容・配信の対象・リンク先のページを見直します。進め方はCPA(顧客獲得単価)を改善する方法で解説しています。
- 限界CPAを上回るとき:成約で得る粗利より広告費が多い状態です。予算を増やさず、広告の見直しに加えて、商談化率・成約率が下がっていないかを営業の記録で確かめます。
図4 実績のCPAの範囲で予算の扱いを決める(金額は試算の仮定)(Framework作成)予算の計算は無料でできる:外注すると媒体費に運用手数料などが加わる
広告予算の計算は、過去の問い合わせ・商談・成約の記録とスプレッドシートがあれば、費用をかけずにできます。計算そのものは無料で、外部への支払いが広告費(媒体費)に加わるのは、運用や制作を外部に任せる場合です。
外注する場合の費用は、媒体に払う広告費(媒体費)と、代行会社に払う運用手数料に分かれ、初期設定費・制作費・ツール費が加わることもあります。費目ごとの確認点は広告運用代行の費用(手数料の仕組みと見積もりの見方)で整理しています。
外注費まで含めた1件あたりの獲得費用は、(媒体費+運用手数料+制作費などの月割り)÷件数で計算できます。毎月決まった額の手数料(定額型、固定報酬型とも呼ばれます)を月5万円と仮定すると、1件あたりの手数料は媒体費30万円なら2,500円、媒体費10万円なら約7,500円で、媒体費が少ない月ほど1件あたりの負担が大きくなります。
| 月の媒体費 | 問い合わせ(許容CPA1.5万円で取れた場合) | 1件あたりの手数料(月5万円) | 手数料込みの1件あたり |
|---|
| 10万円 | 約6.7件 | 約7,500円 | 約2.25万円 |
| 30万円 | 20件 | 2,500円 | 1.75万円 |
| 50万円 | 約33.3件 | 約1,500円 | 約1.65万円 |
前提:手数料の月5万円は計算のための仮定で、相場を示すものではありません。制作費・初期設定費・ツール費は含めていません。媒体費の一定割合を払う手数料(定率型)なら、1件あたりの手数料は実績のCPAにその割合を掛けた額になり、CPAが同じなら媒体費の額では変わりません。手順4で許容CPAから外注費を差し引くか、媒体費だけで比べるかを、最初に決めておきます。
売上目標から商談・問い合わせ・流入へ指標を分解し、どこに投資するかを決める支援の範囲は戦略立案の支援内容に、広告の設計・入稿・予算調整から改善までを任せる場合の範囲は広告運用代行の支援内容にまとめています。どの集客手段に予算を配分するかは、Web集客の方法と選び方(手段ごとの費用・時間・手間の比較)で比べています。
まとめ
まず、過去の問い合わせ・商談・成約の記録から商談化率と成約率を出し、成約1件の粗利と掛けて限界CPAを計算してください。記録がなければ仮の値で始め、残したい利益を引いて許容CPAを決めます。
次に、目標の成約件数を成約までの割合で割って必要な問い合わせ件数を出し、許容CPAを掛けて月の予算にします。Google広告ではその額を30.4で割って1日の平均予算に、Meta広告ではその月の日数で割って1日の予算にするか、掲載期間を月末までにした通算予算にします。
配信を始めたら、広告ごとのCPA・商談化率・成約率を毎月記録し、実績の割合で許容CPAを計算し直したうえで、実績のCPAが図4の3つの範囲のどこにあるかで、予算を増やすか直すかを決めます。
よくある質問
- Meta広告で、1日の予算の1.75倍や1週間で7倍を超えて消化された分はどうなりますか?
- Metaのヘルプ「1日の予算について」のよくある質問によると、キャンペーンまたは広告セットの消化金額が、1日あたりでは1日の予算×1.75、日曜〜土曜の1週間では1日の予算×7を超えた場合、事例によっては超えた分の全額の返金が検討される場合があります。広告セットの予算共有を使っている場合は、返金額が異なる場合があるとされています。
- Meta広告で1日の予算を週の途中で変えると、その週の上限はどう計算されますか?
- Metaのヘルプ「1日の予算について」によると、週の途中で1日の予算を変えた場合は、新しい1日の予算にその週の残りの日数を掛け、1日の予算の最大25%を加えた額で、その週の残りの上限が計算し直されます。公式の例(米ドル)では、水曜日の午前0時に$100から$50に変えると、水曜〜土曜の4日間の消化は$212.50を超えません。
- Meta広告で1日の予算がすぐに消化されてしまうのはなぜですか?
- Metaのヘルプ「1日の予算について」のよくある質問は、考えられる理由として、予算をできるだけ早く消化する「スピード配信」を使っている、広告セットが情報収集期間で集中的に配信している、予算が入札額に近いか下回っている、の3つを挙げています。スピード配信が原因なら、通常配信に切り替えると短時間での消化を避けられるとされています。